ある日、骨壷を受け取った / under_様
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あらすじ
中堅どころのIT会社に働く主人公は、保護猫の譲渡会で引き取った愛猫との二人(?)暮らし。仕事が恐ろしく忙しかったり、保護猫NPOの女性事務員にほのかな恋心を抱いていたりはするものの、総じて言えば質素で平凡な生活が続いていた。
しかしある日、身寄りのないまま亡くなった遠い親戚の骨壷を受け取ることになってしまった。親戚といえども会ったことはなくほぼ赤の他人。扱いに困っていると、愛猫に遺骨の霊が乗り移ってしまい、二人の奇妙な共同生活が始まる……。
主人公、あまりにも真面目過ぎる……
上司の命令には逆らえない。
- 警察に欲しくもない遺骨を押し付けられる。
- 捨てたくても遺体遺棄罪をほのめかされて処分することもできない。
- いきなり現れた奇妙な同居人に文句を言っても口八丁で丸め込まれる。
ここまで真面目だと生きていくのが苦手なところがかわいそうです。
いや、ある意味では他人事ではありません。
もしも自分が将来会社で働いたら、上司がクソだったら、警察に脅されたら……
この主人公ほどのお人好しでなくともそういう無理難題をうまいこと回避するのは相当難しいと思います。
そういう意味では主人公に感情移入しやすいのではないでしょうか。
試し読みの最後でようやく主人公は報われますが、そこに至るまでは徹底的に主人公に不幸が襲い掛かります。
それはある意味で善人が報われるとは限らないということですが、だからこそ無理して”いい子”になる必要なんかないのです。
以下、本文を一部引用
でもよ、俺たちが街の片隅で熱にうなされようと、血を吐こうと、自分自身や他人を憎もうと、そもそも俺たちが居ようが居まいが、世界は何事もなく回っていくんだよな、悔しいけど。
だからもっと、気楽に生きりゃいいんだ。何もかも忘れて。何もかも諦めて。
頑張り屋さんにこそ読んでほしい作品です。
常に100%なんか目指さないで普段は70%でたまに本気を出すくらいがちょうどいいんじゃないでしょうか。
レビュワー:キタイハズレ(文芸高等遊民所属・サイトオーナー)
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