「ベートーヴェン交響曲『幻影』」(藍崎万里子様)

※こちらは無料の試し読みを読んだ上での感想です


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あらすじ
16歳の時にウィーンで出会ったモーツァルトを愛し続けることをやめられないベートーヴェンは、モーツァルトの死後も、モーツァルトの亡霊に取り憑かれて、自由に創作ができない状態に陥る。
誰も知らないことだったが、モーツァルトは実は女性だったのである。

才能も、容姿も、心も、魂も、すべてひっくるめて、ベートーヴェンはモーツァルトを愛していた。

しかし、そのために、「第二のモーツァルト」としての活動しかできなくなっていた。

そのことを、あらゆる人々に指摘され、叱責を受けるが、なかなか独り立ちできない。

ベートーヴェンの愛人でモーツァルトと偽造結婚していたコンスタンツェが、業を煮やしてベートーヴェンを突き放す。そこで、やっと目を覚ましたベートーヴェンは、今度こそ、自分の道に進もうと、決意する。

交響曲「英雄」を書くために、ナポレオンへの憧れを募らせて、モーツァルトのことは忘れようとする。


試し読み部分を読んでみると結構会話文が多いなと感じました。

もちろん悪い意味ではありません。

会話文が多いということは読みやすさにつながります。

強引に世界観説明を会話文に挿入すると説明くささゆえに途端に物語が陳腐なものになってしまいますが、この作品においてそういった弱点は存在しません。

会話文と地の文のバランスが絶妙で、するすると読めるというのがこの作品の強みではないでしょうか。

内容としては真正の天才であるモーツァルトに対するベートーヴェンの憧れ、モーツァルトを再現できないことへの焦りといった、(私が個人的に好きな)感情の揺らぎを描いているのですが、会話文のおかげで滞りなく読めるんですね。

ただ残念ながら試し読み部分だとここからどうなるかはわかりません。

続きは会場で本を買って読みましょう!



レビュワー:キタイハズレ(文芸高等遊民所属・サイトオーナー)

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