『読むストロングゼロ 『酒』アンソロジー』(文文文庫様)
※こちらは無料の試し読みのレビューです。
文文文庫「酒」テーマアンソロジー「読むストロングゼロ」
寒川・空木賢一・鳥原継接の簡単に読めるショートショート(?)が13種類。
もう考えるひつようはありません! お酒を飲みながら読むとたいへんはかどるフレッシュな短編集です!収録作品
「衝動2018」寒川
「一升瓶さんと缶チューハイさん」空木賢一
「俺は飲み放題」鳥原継接
「ソルティ・ドッグ」鳥原継接
「ゴリ酒」寒川
「ラフメイカー」鳥原継接
「真夜中のカニハンター」寒川
「殻とビール」鳥原継接
「夏のサカナ」寒川
「お酒は二十歳から」鳥原継接
「リバースワールド」空木賢一
「おしまいの国へはるばると」鳥原継接
「狂い水への供物」寒川
試し読み「殻とビール」鳥原継接→こちら
最初から飛ばしていますねぇ……
ビール風呂に入るヒロイン、しかもカタツムリ!!
嘘じゃないです、本当です。
しかもカタツムリって気持ち悪いはずなんですけど、描写のおかげでなんだか愛おしく思えてきます。
俺は背中からアキの裸の腰に手を回す。掌や腕に、冷たくぬめりきったメカブのような触感だ。抱き着いた俺をアキの波立つ背中がヌルヌルと撫でる。花弁のように彼女の背中は蠢く。腹足というのだ。カタツムリとかはここで這って歩く。背中にあるが、彼女の腹は本来こちら側らしい。
抱き着いたまま彼女の首元に顔をうずめ、離すと俺の無精髭と彼女の首筋の間に膜となって粘液が引く。磯と酒の臭いに少し吐きそうになるが、首筋の黒子はどうしたってアキのものだ。抱き心地も、乳房だって、この身体はアキのもの。
世の中には人外娘というジャンルがありますが、このアキはまさしくそれに該当すると思います。
人外娘というジャンルはただ耳や尻尾がついているだけでは不十分です。
もふもふの体毛だったり爬虫類や魚類の鱗だったり。
このアキにおいてはぬめぬめの肌が人外としての特徴にあたります。
もっとも、これは私の好みの問題なので他の人に刺さるとは限りませんが、少なくとも私にはぶっささりました。(作者様は意図していなかったもしれません)
しかもアキがカタツムリになったのは主人公のせいだというのです。
あの時俺には思えたんだ。全部町のせいにしていただけなんだ。うまくいかないことを、不甲斐ないから。責任を取る勇気がないから捨てた。そうだ、アキのことだって。アキと最後に会ったのは、逢瀬を重ねた浜辺の網小屋。俺だけが逃げ出したんだ。アキは町長の娘だった。
ヒロインはまるで気にしていないようにふるまうのに主人公はヒロインの成れの果てを自分の罪だと感じて苦しむ…………
うん、性癖ぶっささり!
私自身はお酒が嫌いなのですが(飲めないし、飲みたくない)、酒を飲んだことで暴かれる本性とか期待できそうですね。
タイトルだけでいろいろ想像できます。
続きは本を買ってからのお楽しみということで!
レビュワー:キタイハズレ(文芸高等遊民所属・サイトオーナー)
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